コラム

住所変更登記の義務化(2026年4月から)|宇都宮の司法書士が解説

住所変更登記の義務化(2026年4月から)|宇都宮の司法書士が解説

2026年4月1日から、不動産の持ち主が引っ越したり、名字が変わったりしたときの「住所変更登記」が義務になりました。宇都宮市など栃木県内に土地や家をお持ちの方からも、「うちは対象になるのか」「何をすればよいのか」というご相談が増えています。

義務の中身は、住所や氏名が変わってから2年以内に登記をすることです。2026年3月31日までに引っ越していて、まだ登記していない方も対象で、その場合の期限は2028年3月31日です。法務局に無料の申出をしておくと、法務局が住所の変更を確かめて登記をしてくれる「スマート変更登記」という仕組みもあります。

ここでは、制度の中身と、司法書士として実際の手続きの中で感じる注意点を、順にご説明します。

住所変更登記の期限:2026年4月1日以降に住所や氏名が変わった方は変わった日から2年以内、2026年3月31日までに変わっていてまだ登記していない方は2028年3月31日まで

そもそも、なぜ義務になったのですか?

A. 登記簿を見ても持ち主が分からない、連絡がつかない「所有者不明土地」が全国で増え、その大きな原因のひとつが、住所変更登記がされていないことだったからです。

国土交通省の調査(令和2年度)では、所有者不明土地は約24%。原因は、相続登記がされていないことが約63%、住所変更登記がされていないことが約33%とされています(法務省の資料・令和4年9月)。持ち主が分からない土地は、道路や防災などの公共事業、災害からの復旧、土地の売り買いの妨げになり、管理されずに周りの土地に迷惑をかけることもあります。

これまで住所変更登記は「してもしなくてもよい」もので、しなくてもすぐに困ることは少なかったため、引っ越しても登記簿の住所はそのまま、ということがよくありました。そこで令和3年(2021年)に法律が改正され、相続登記(2024年4月から)と住所等の変更登記(2026年4月から)が義務になりました。あわせて、手続きの負担を軽くするための「スマート変更登記」も始まっています。

Q1. いつから、だれが、何をしなければならないのですか?

A. 2026年4月1日から、不動産の所有者として登記されている方は、住所・氏名が変わった日から2年以内に、住所変更登記・氏名変更登記を申請しなければなりません(不動産登記法76条の5)。

引っ越して住民票の住所が変わったとき、結婚や離婚などで名字が変わったときが典型です。会社などの法人も、本店の移転や商号の変更があれば対象になります。

Q2. 2026年3月31日までに引っ越したのですが、関係ありますか?

A. 関係があります。義務化の前に住所が変わっていて、まだ登記をしていない場合も対象で、2028年3月31日までに登記をする必要があります。

「家を買ったあと、何年も前に引っ越した」「登記簿の住所は前の住所のまま」という方は少なくありません。一度、登記簿(登記事項証明書)で、ご自分の住所がいまの住所になっているかを確かめてみてください。

住所・氏名が変わった日 登記の期限
2026年3月31日まで(まだ登記していない) 2028年3月31日
2026年4月1日以降 変わった日から2年以内

こんな方は、登記簿の住所を一度確かめてみてください。

✅ 家や土地を買ったあとに、引っ越したことがある
✅ 土地を買ってから家を建てて、引っ越した
✅ 結婚などで名字が変わった
✅ 相続した不動産があり、その後に引っ越した
✅ 住居表示の実施などで、住所の表し方が変わった

Q3. 登記をしないと、どうなりますか?

A. 正当な理由がないのに申請をしないと、5万円以下の過料の対象になります。ただし、いきなり過料になるわけではありません。

法務局は、まず期間を決めて申請をするよう求め(催告)、それでも正当な理由なく申請しない場合に、裁判所へ知らせる流れになっています。正当な理由として法務省が挙げているのは、スマート変更登記の申出をしているのに法務局の登記がまだ済んでいない場合や、市町村の住居表示の実施などで住所の表し方が変わった場合です。そのほか、重い病気の場合、DV の被害で避難している場合、登記の費用を払う余裕がない場合も例に挙がっています。

Q4. 「スマート変更登記」とは何ですか?

A. 法務局に「検索用情報」を一度申し出ておくと、その後に住所や氏名が変わっても、法務局が住民基本台帳ネットワークで確かめて、住所変更登記をしてくれる仕組みです。申出は無料です。

することは、法務省のサイトから、氏名・住所・生年月日などを一度入力するだけです。

申し出るのは、氏名、ふりがな、住所、生年月日、メールアドレスです(ふりがな・生年月日・メールアドレスは登記簿には載りません)。法務省の「かんたん登記申請」からオンラインで、または書面で申し出ることができ、ほかの法務局の管内の不動産についてもまとめて申し出られます。

2025年4月21日より後に、売買や相続などで所有者として登記された方は、そのときの申請で検索用情報を出していることがあります。それより前から持っている不動産も、あとから申し出ることができます。

法務局が実際に職権で登記をするのは、2026年12月中旬以降の予定とされています。その前に、法務局から「変更してよいか」を確かめる通知が届き、返事をすると登記される流れです。海外にお住まいの方は使えません。会社などの法人は、登記簿に会社法人等番号が載っていれば、2026年5月15日から法務局が職権で変更します。

Q5. 自分で申請できますか? 費用はどれくらいですか?

A. ご自分で申請することもできます。登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。

土地1筆と建物1棟なら2,000円です(住居表示の実施など、市町村による住所の変更は、税金がかからない場合があります)。添付するのは、住所の移り変わりが分かる住民票や戸籍の附票などで、申請先は不動産のある場所を受け持つ法務局です。宇都宮市・さくら市などの不動産は、宇都宮地方法務局になります。

何度も引っ越していて、登記簿の住所からいまの住所までのつながりを書類で示さなければならない場合は、手間がかかります。

Q6. 義務であること以外に、早めに登記しておいたほうがよい理由はありますか?

A. あります。売買や贈与などの手続きのときに困らないため、そして、住所のつながりを証明できなくなる前に済ませておくためです。

実際の手続きでいちばん多いのは、土地を買って家を建てたときです。土地を買った時点では、前の住所(アパートなど)で登記されることが多く、家が建って引っ越したあと、建物の登記や住宅ローンの手続きにあわせて、土地の住所変更登記をすることになります。このときに一緒にしておけば手間は少ないのですが、そのままにしておくと、何年もたってから困ることがあります。結婚で名字が変わったまま、登記簿が旧姓のままになっている場合も同じです。

ひとつは、不動産を売ったり、贈与したり等、登記手続きをする際に、登記簿の住所が、いまの住所(印鑑証明書の住所)と同じであることを求められる場合があることです。違っている場合は、先に住所変更登記が必要になります。売却の直前になって住所が古いままと分かり、書類集めから始めることも少なくありません。

もうひとつは、長く放っておくほど、住所が変わったことを証明しにくくなることです。住所変更登記では、登記簿の住所から、いまの住所までのつながりを、住民票や戸籍の附票で証明します。ところが、何度も引っ越していたり、何十年も前の住所だったりすると、役所で古い記録が取れないことがあります。住民票の除票や戸籍の附票の除票は、以前は保存期間が5年で、2019年の法改正で150年に延びましたが、それより前に処分された記録は取れないことがあります。そうなると、権利証など別の書類で補うことになり、手間も時間もかかります。

実際に、住宅ローンを払い終えて抵当権を抹消しようとしたら、登記の住所が家を建てる前のままで、古い住所のつながりを証明するのに2か月ほどかかった例もあります。くわしくは、解決事例「住宅ローン完済後の抵当権抹消に、住所変更登記が必要だった事例」をご覧ください。

Q7. 宇都宮で住所変更登記を司法書士に頼むと、どうなりますか?

住民票・戸籍の附票の取り寄せから、申請書の作成、法務局への申請まで、まとめてお引き受けします。不動産の売買・贈与の登記や、相続登記と一緒に手続きすることもできます。古い住所の記録が取れないときの進め方も、ご相談ください。

もりわき司法書士事務所のご案内

この記事は、2026年10月時点の法令と法務省の公表資料をもとに書いています。個別の事情によって手続きが変わることがありますので、詳しくはご相談ください。

執筆:司法書士 森脇勝治(栃木県司法書士会所属・登録番号 第439号)

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