コラム

住宅ローン完済後の抵当権抹消に、住所変更登記が必要だった事例|宇都宮の司法書士

住宅ローン完済後の抵当権抹消に、住所変更登記が必要だった事例|宇都宮の司法書士

宇都宮市に家をお持ちの方から、「住宅ローンを払い終えたので、抵当権を消してほしい」とご依頼をいただきました。銀行から、抵当権の抹消に使う書類一式を受け取ったばかりとのことでした。

ところが、登記簿を取り寄せてみると、家の持ち主の住所が、家を建てる前に住んでいたさくら市の住所のままになっていました。今回は、その住所からいまの住所までをたどって住所変更登記をし、そのうえで抵当権を抹消した事例をご紹介します。

※ご依頼者が分からないよう、内容の一部を変えています。

登記の住所が、家を建てる前のままでした

抵当権を抹消する登記は、登記簿に書かれている持ち主の住所と、いまの住所が同じでないと申請できません。住所が違うときは、先に「住所変更登記」をして、登記簿の住所をいまの住所に直しておく必要があります。

この方は、家を建ててから今までに、次のように住まいが変わっていました。

1 さくら市に住んでいたときに、宇都宮市に家を建てる(登記はさくら市の住所でした)
2 完成した宇都宮市の家に住む
3 仕事の都合で県外へ引っ越す(家は人に貸す)
4 栃木県に戻り、芳賀町の賃貸住宅に住む(現在)

住所変更登記では、登記簿の住所(さくら市)から、いまの住所(芳賀町)まで、住所がつながっていることを役所の書類で示さなければなりません。今回は、引っ越し3回分をさかのぼる必要がありました。

住民票をたどっていくと、途中で記録が途切れました

住所のつながりは、ふつうは住民票で確かめます。住民票には「前の住所」が載っているので、それを手がかりに、一つ前の住所、さらにその前の住所と、順にさかのぼっていきます。

まず、いまお住まいの芳賀町の住民票を取りました。ここから分かるのは一つ前の住所、つまり引っ越し先だった県外の住所までです。

次に、その県外の市区町村に、住民票の除票(引っ越して住民票が消されたあとに残る記録)を請求しました。こちらには前の住所として宇都宮市の住所が載っていて、宇都宮市から県外、県外から芳賀町までは、つながりが分かりました。

残るのは、さくら市から宇都宮市への引っ越しです。これを確かめるには、宇都宮市の住民票の除票(前の住所としてさくら市の住所が載るもの)か、さくら市の住民票の除票(転出先として宇都宮市の住所が載るもの)が必要です。ところが、どちらも保存期間が過ぎていて、もう取ることができませんでした。

戸籍の附票で、つながりを証明できました

そこで使ったのが、戸籍の附票です。戸籍の附票は、本籍地の市区町村が戸籍と一緒に管理している書類で、その戸籍に入っている間の住所の移り変わりが記録されています。

この方の本籍地は遠方だったため、郵送で請求しました。届くまでに2週間ほどかかりました。この方は本籍を移していなかったので、いまの附票にさくら市の住所から順にすべて載っていて、登記簿の住所からいまの住所までのつながりを証明することができました。

そのうえで、住所変更登記と抵当権抹消登記を、続けて法務局に申請しました。

ご依頼から完了まで、2か月ほどかかりました

ご本人はお仕事でお忙しかったため、住民票や戸籍の附票の取り寄せは、すべて当事務所が代わりに行いました。それでも、ご依頼から登記が終わるまでに、2か月ほどかかっています。

時間がかかるのは、書類の取り寄せです。遠方の市区町村に郵送で請求すると、1か所あたり2週間ほどかかります。しかも、届いた書類を見て初めて「その前の住所」が分かり、そこからまた別の市区町村に請求する、ということを繰り返すこともあります。

費用の考え方

報酬は、資料を拝見したうえでお見積りします。そのほかにかかる実費は、主に次のとおりです。

  • 登録免許税:住所変更登記も抵当権抹消登記も、不動産1つにつき1,000円です(土地と建物なら、それぞれにかかります)
  • 住民票や戸籍の附票などを取り寄せる手数料:1通あたり数百円です。郵送で請求するときは、手数料分の定額小為替と、返信用の切手も必要です
  • 法務局への郵送料など

同じような状況の方へ

抵当権の抹消などの手続きでは、司法書士が最新の登記簿を取り寄せて内容を確かめます。そのときに、登記の住所が古いままになっているのは、よくあることです。ご本人も、家を建てたときの住所で登記したことを忘れていることが多く、抹消や売却の段になって、あわてて対応することになります。気になる方は、法務局で登記事項証明書を取って、登記の住所がいまの住所と同じかを確かめておくと安心です。

今回は戸籍の附票で証明できましたが、いつもそうとは限りません。住民票の除票や戸籍の附票には保存期間があり、古い記録はもう残っていないことがあるためです。

  • 保存期間は2019年の法令の改正で150年に延びましたが、それまでは5年でした。そのため、古い記録はすでに廃棄されていることがあります。たとえば宇都宮市では、住民票の除票は2013年(平成25年)4月1日以降に消除されたもの、戸籍の附票は2014年(平成26年)1月1日以降に消除されたものから交付できる、と案内しています(扱いは市区町村によって少し違います)。
  • 本籍地を移していたり、戸籍が作り直されていたりすると、古い住所は前の附票にしか載っていません。その附票も、保存期間が過ぎて取れないことがあります。
  • 戸籍の附票は、2024年に始まった戸籍の「広域交付」(本籍地以外の役所でも戸籍が取れる仕組み)の対象になっていません。本籍地の役所に請求する必要があり、遠方なら郵送で時間がかかります。

どうしても住所のつながりを証明できないときは、権利証(登記済証)や、登記簿の住所に今は住んでいないことの証明書、事情を説明する上申書などを組み合わせて申請することになります。何を求められるかは法務局によって違うこともあり、時間も手間も費用も、ずっと多くかかってしまいます。

2026年4月から、住所変更登記は義務になりました

住所や氏名が変わったら、2年以内に住所・氏名の変更登記をすることが義務になりました。引っ越しのたびに登記をしておけば、今回のような苦労はしなくて済みます。詳しくは、コラム「住所変更登記の義務化(2026年4月から)」をご覧ください。

ご相談はこちら

住宅ローンを払い終えたあとの抵当権の抹消や、登記の住所が古いままになっていないか気になる方は、お気軽にご相談ください。お手元の登記の書類や、銀行から届いた書類を写真で送っていただければ、必要な手続きと費用の目安をお伝えします。宇都宮市のほか、さくら市や芳賀町など、周辺の市町の方からもご依頼をいただいています。

もりわき司法書士事務所のご案内

この記事は、2026年10月時点の法令と、法務局・市区町村の公表資料をもとに書いています。個別の事情によって手続きが変わることがありますので、詳しくはご相談ください。

執筆:司法書士 森脇勝治(栃木県司法書士会所属・登録番号 第439号)

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